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#27 contents

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:'Oxfam Japan' SONG LINE vol.2「Takamasa Segi/"森の子守唄"」
REPORT:05.02.20/「石黒ケイ」(神奈川/茅ヶ崎HUSKY'S GALLERY)
連載コラム:TERA'S SOUNDTRACK REVIEW 「#27/ SLEEPLESS IN SEATTLE」
連載小説:「タマユラの宵・第二話」/蒼泉 光



 'Oxfam Japan' SONG LINE vol.2「Takamasa Segi/"森の子守唄"」



国際NGO団体オックスファム・ジャパンが、
毎月1曲、メッセージソングを取り上げ、配信する「SONG LINE」。
第二弾、「SONG LINE vol.2」は、瀬木貴将の「森の子守唄」。
その映像クリップを、いち早く、特別配信致します!
詳しい楽曲についてのインフォメーション、及び「SONG LINE」については、
Oxfam Japan HP(http://www.oxfam.jp/)まで。



  

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(BB環境のある場所にて、お楽しみ下さい)


 05.02.20/「石黒ケイ」(神奈川/茅ヶ崎HUSKY'S GALLERY)

16年前、突然芸能界から姿を消し、ひっそりと生きてきた石黒ケイが昨年未発表ライブを収録したCD「ライブセレクション」を挨拶代わりに、歌の世界に戻ってきた。約半年にもわたるレコーディングを終え、今年の一月に新録アルバム「パンドラの匣」を発表した。

そしてレコ発ライブが2月20日にふるさと茅ヶ崎のハスキーズギャラリーで行なわれた。
バックをつとめるメンバーは若いが名うてのジャズミュージシャン達。
早々とソールドアウトとなった会場は立錐の余地もないほどの満席。
石黒ケイの歌手生活第二部のスタートだ。
まずは、ジャズポップスの名曲「Mr.トロンボーン」。ケイが向井滋春さんへの片思いを歌った歌だ。歌い出しはかなり緊張しているようで、その緊張感が会場に伝わっていく。
続く「憎いあんちくしょうのブルース」。名盤「アドリブ」ではイントロのメロディはトゥーツ・シールマンスがとっていたが、ここでは若いギタリスト寺屋ナオくんがメロディを取る。
セカンドアルバム収録の「バイオレット・ナイト」を改作した「Dangerous Game」、後期のアルバ「Bolero」収録の「イレーヌの場合」は元々80年代風の打ち込みアレンジだったが、ここではジャジーでスペイシーなアレンジで聴かせる。ここまでは、まだ緊張気味だったが、映画「魔の刻」のイメージソング「エルチョクロ」あたりから、緊張も少しずつ解けていった。
「ヨコハマベイブルース」では、寺屋ナオくんのギターが炸裂!
ブルージーでエモーショナルなアドリブを決め会場を沸かせた。
ケイ自身が芸能界を辞め、目標を失った時期に心にしみた歌ですと紹介して始まった「船頭小唄」。私のステージって暗いですね、と会場を笑わせる。
1stセットのラストは新曲「夜明けのララバイ」。アルバムではピアノアレンジだったが、ここではバンドアレンジで聴かせる。エンディングでは拍手が鳴りやまない。会場を見回すと、意外にも女性の観客が多い。
短い休憩の後、「ケイの子守唄」で2ndセットが始まる。菩薩のように生きるのは難しい、とこれは翌週のライブで言ったことだったっけ。心をさらけ出すような、血を吐くようなエモーショナルな歌だ。
「潮騒」は3rdアルバム収録のナンバー。ボサノバアレンジで聴かせる。アルバムではギターが取っていたソロは中村力哉君の粋なピアノソロに変わった。
アルバムのタイトルナンバー「パンドラの匣」ではカラオケのせいか、3番の歌い出しのタイミングがつかめず、ちょっと失敗。
「ウィスキーララバイ」はこれぞジャズ歌謡ポップスという、粋でスインギーなナンバー。こういう曲を歌っているときのケイは特に素晴らしいと思う。ピアノバーでグラスを傾ける男と女の情景が浮かんでくる。
ガーシュインの「I loves you , Porgy」これも石黒ケイだけの世界に塗りつくされている。
「朝日楼」では、ミュージシャン達とキーだけを決め、打ち合わせなしで、アカペラで歌い始める。うらぶれたニューオリンズの娼婦宿で、自分の人生を嘆く娼婦に本当に見えたのは錯覚だったろうか。ミュージシャン達もフリーで切り込んでくる。
「今朝の気分」ではシャッフルビートに乗せて、色っぽいスキャットを聴かせる。会場のボルテージも最高潮に達したところで、おまちかねの「ヨコハマホンキートンクブルース」、これはある意味アーバンな雰囲気を持っていないと、この曲の「粋」さを表現できない。



アンコールでは美空ひばりの「車屋さん」。会場は手拍子に包まれる。中間の都々逸の部分もケイの持ち味の一つ。これも粋に歌えるのがケイの凄さだ。
ケイの曲の中では一番知られている五木寛之作詞の「ひとり暮らしのワルツ」。寺屋ナオくんのガットギター一本でしっとり聴かせて、ステージは終了した。
音程が外れようが、声が出なかろうが、今伝えたい事を歌う。ケイ自身が意識しているいないに関わらず、それはまさしく、「ロック」しているという事だ。ケイ自身は勿論ロック・シンガーではないが、心根の部分に魂がやどっている、そんな事を感じさせるライブだった。(Text by Kazuhiro Kohinata)

<石黒ケイ・今後のスケジュール>
日時:4/18(月) 
場所:銀座シグナス 
時間:開演7時30分 
チケットはオフィシャルサイト(http://www.dc-forte.co.jp/kei/top.htm)にて。


連載  from TERA

TERA's Soundtrack Review このコーナーでは毎月1枚、映画のサントラを作品と共に紹介します。

#27
『めぐり逢えたら/邦題:SLEEPLESS IN SEATTLE』

音音楽:マーク・シャイマン/ Marc Shaiman
1993年/米/ノーラ・エフロン監督作品。1時間45分。
トム・ハンクス、メグ・ライアン主演。
ビル・プルマン、ロージー・オドネル、リタ・ウィルソン共演。

1957年製作、ケイリー・グランド主演の「めぐり逢い」をヒントにして、
製作されたトム・ハンクスとメグ・ライアン主演による恋愛ストーリー。
監督のノーラ・エフロンは、あのウォーターゲート事件の記者、
カール・バーンスタインの元夫人で、「ニューヨークタイムズ」誌や、
「ポスト」誌等のライター出身。映画「シルクウッド」で脚本家デビュー。
道が逸れてしまいますが、そのマイク・ニコルズ監督の「シルクウッド」、
核工場に勤める女性がその危険性を訴えている最中に事故死する実話で、
その脚本もかなりドラマティックに書かれていて素晴らしいものでした。

サントラは、監督自らプロデュース・セレクトされた曲が多く収録されています。
M-1では、名作「カサブランカ」の主題曲として有名な「AS TIME GOES BY」。
M-2は、ルイ・アームストロング、M-3のナットキングコール「STARDUST」。
というように、往年の名作映画に登場した永遠に残る名曲を並べています。
確かに音楽以外、映画の隅々にも流行や「その時」を感じるものは存在せず、
主人公の2人の趣味も、このサントラに出てくるスタンダードな名曲を好んでいる設定。
映画の中にもう一つの映画が存在して、1つ1つがきちんとリスペクトされていて、
スタンダードを丁寧に扱うノーラ・エフロン監督の姿勢が好ましく感じられます。
最後のM-12は、デビッド・フォスターの手による「WHEN I FALL IN LOVE」。
セリーヌディオンとクライヴグリフィンのボーカルによるものです。

個人的には、M-5の「IN THE WEE SMALL HOURS OF THE MORNING」がお勧めです。
シナトラバージョンもいいですが、サントラでのカーリー・サイモンも必聴です。

このCDは廃盤かもしれませんが、中古では手に入りやすいと思います。
DVDは、レンタルもセルも店に並んでいます。お時間ある時に是非!


連載  from 蒼泉 光

連載小説:「タマユラの宵/第二話/秋の公園"A park in fall"」 蒼泉 光


「眩し過ぎる空に投げ出された、私は生ける屍。拾い集めし夢の残骸。
タマユラの宵を纏い、貴方亡きこの世界を彷徨う。A.M」

<タマユラの宵/第二話/秋の公園"A park in fall">

 
  私は立ち上がり、コートを羽織り、家を出た。
そして足の赴くまま夜道を歩いた。途中向かってくる自転車に
ぶつかっって怒鳴られたけれど、むかつく気力もなく、
ただフラフラと歩き続け気がつくと透と始めて訪れた公園に
来ていた。これがあの公園・・・?まるで廃墟みたいだ。
かつての暖かさなど微塵も感じられない。私はしばらく
棒立ちになった後ベンチに三角座りをした。
ガランとした公園を見渡していると、記憶は自然と当時の
2人を甦らせる。



「公園なんて何しに行くんだよ。用ねーじゃん、行っても暇だぜ。」
ある秋の祝日の昼下がり。駅前のカフェでブルーベリーパイをほおばりながら透が言う。
「そうでもないよ。行ったら意外と楽しいって。」
「ありえねー。」
「何でぇ?私小さい頃は休みの日は家族と公園だったよ。」 
「マジかよ。」
「マジだよ。超マジ!超行きたい!」
「うぜー。」
私は彼の最後の言葉をあっさりと笑顔で流して、少し残っていたカフェラテを一気に飲み干しトイレへ向かった。一瞬振り返ると少しふて腐れて携帯をいじっている透が目に入った。絶対に楽しいに決まってる!私は根拠のない自信をいっぱいに抱えながら水道で手を洗って鏡を見た。普通にしているのに、口元が自然と少し笑ってる。透といる時の顔になってる。そんなことを思いながらリップグロスを塗っていると携帯が鳴った。メールだ。
『早く出て来いバーカ。愛してる。』

ヴォンヴォン。透のバイクのエンジン音が聞こえる。いつだってそう。憎まれ口を叩いても彼は私の我が儘を聞いてくれて、私の想像してた以上の楽しい時間を与えてくれる。私は満面の笑みを浮かべてカフェを飛び出した。

5年前のある午後透と訪れたこの公園は、笑い声をあげてボールを蹴り合う子供たちや犬の散歩をする熟年の夫婦などが穏やかな時間の流れに心地良く身を預けていた。
私たちは公園の脇にバイクを止めて、そばにあったお店でアイスを1つ買って順々に食べながら公園を歩き回った。
「ねえ、あそこ座ろうよ。」
ベンチに座った透の腿の上に私は跨って座り、向かい合わせになった。

「ねえ、透はどんな子供だったの?」
「俺?あー別に・・・あ、でもとりあえず家族で公園はなかったな。」
彼の幼少の頃の話は少し知っていた。2歳の時事故で両親を亡くして親戚の間をたらい回しにされ、今の家の人に引き取られたと前に聞いたことがある。いつか2人で知り合いの催したゴスペルコンサートへ行った時、「この歌おふくろが歌ってくれた気がする・・・」と言った彼の横顔に、涙がつたっていたのを見た。

私たちは自分たちの滑稽な姿に何度も笑いながら、延々とお互いの生い立ちや子供の頃の話や今までに付き合った人の話をした。その数があまりに多いから私はヤキモチを焼きっぱなしで忙しかったけど、茶化しながら話していた彼が急に真剣な顔をして言った。
「みんな死んだ魚の目をしてたよ。でも舞は違った。だから大切にしたいんだ。」
その眼差しが真っ直ぐだったから、私はこみ上げる嬉しさと同時に急に緊張に襲われ焦って言葉を探した。
「あ・・・あのね、こんなの考えるのちょっと変かも知れないけど、私ね、透とだったら無人島に行っても生きていけるよ!」
私があまりに力強く言ったせいで、私たちは驚いて目を合わせたまま動きを一時停止してしまった。私は彼の目を見つめたまま何故か泣きそうだった。だって本当にそう思うんだもん。透とならどこへだって行けそうな気がするんだよ。
するとパッと緊張の解れた糸のように彼は微笑んだ。
「無人島に行ったって毎日笑って生活させてやるよ。腹痛いの覚悟しとけ。」

私たちは2人ならどこまででも行けると確信しながら静かにキスをした。それはもしかすると永遠を誓う儀式のキスに似ていたかもしれない。
 
ある秋の午後、何時の間にか子供たちの声は消えていて、夕日は月に替わろうとしていた。

<タマユラの宵/第二話/秋の公園 "A park in fall">完。


次回<タマユラの宵/第三話/涼 "Ryo">
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