The Chokobabyz(チョコベビーズ)


1986年、安斉 肇と佐川秀文により、結成。2003年に古田たかしが参加し、更なるパワーアップ!
そして2004年、無敵な1stアルバムをリリースした、The Chokobabyz(チョコベビーズ)、笑撃のロングインタビューです。

(2005年2月01日/世田谷momentにて/インタビュアー:TERA@moment)







The Chokobabyz(チョコベビーズ)


あんざい はじめ(Hajime Anzai)/歌、口笛、ハーモニカなど

1953年12月21日生まれ、O型、神奈川県在住。本名:安斎肇。
職業はイラストレーター、その他。
主な仕事:80年頃よりレコード・ジャケットのデザインを中心に活動。
92年よりテレビ朝日系「タモリ倶楽部」”空耳アワー”に出演。
近年は、イラストレーションやキャラクターデザイン、雑誌連載、
展覧会開催が中心になっている。また”勝手に観光協会”として
みうらじゅん氏とJ-WAVE「TR2」火曜深夜を担当。
著書に絵本「LOVE!LOVE!LOVE!」、「タビダチくんがゆく」など


佐藤秀文(Hidefumi Sagawa)/ギター、ウクレレ、歌など

1958年12月6日生まれ、O型、福島県在住。
職業は音楽番組構成作家、小説家見習。
主な仕事:編集者として季刊雑誌「合点だい!」、単行本「極楽TV」
「正しいブロク『役人ごろし』の作り方」、フリーペーパー
「トラットリア新聞」「footbeat」など。ライターとして
ミュージシャンのほか、植木等、ピエール・リトバルスキー、
麻原彰光などにインタヴュー。構成作家として「VIDEO JAM」
「SELF LINER NOTES」など。


古田たかし(Takashi Furuta)
/ドラムス、パーカッション、フルート、ギター、歌など


1958年7月6日生まれ、A型、東京在住。
職業はドラマー。
主な仕事:ドラマーとして中学三年時にカルメン・マキ&Oz で
プロ・デビュー。その後、原田真二&クライシス、
佐野元春&ザ・ハートランド、Dr.StrangeLove、PUGSに参加。
渡辺美里、吉川晃司、奥田民生、PUFFYなどのレコーディング、
サポート・メンバーとしても活動中


 The Chokobabyz(チョコベビーズ)

これからバンドはいろいろ乗り越えなきゃいけないものがありますので、大変ですよ。金の事でもめたりとか。ラモーンズみたいにTシャツの売り上げでもめたりとか、いろいろするようになってます。(笑)でも、そういう、なんか醍醐味っていうかね、古田たかしさんがもう慣れてしまったような事を、僕たちが今、新鮮に思ってますんで、ミュージシャンっていうか、アーティストとして何とかね、何とか1人前になろうと。(安斎:談)


TERA(以下:T):では宜しくお願いします! はじめに、それぞれ自己紹介をお願いしたいんですけれども。


佐川秀文(以下:S):佐川秀文です。チョコベビーズではギターを弾いてます。

安斉 肇(以下:A)安斎肇です。イラストを書くかたわら音楽活動をしております。主に歌などを歌っております。すいません。

古田たかし(以下:F):古田たかしです。チョコベビーズではドラムをたたいてます。ほかでもドラムたたいてます。ドラムしかやってません。(笑)

A:いやいや、いろいろやってますよ。

F:ここではもっといろんな楽器やってます。

A:ギターもやってもらって、フルート。もちろんボーカルもとっていただいて。

T:まず、バンド結成のいきさつを教えていただきたいんですが。

A:長くならなければいいのですが、佐川さんからどうぞ。

S:長くなっちゃうんですよ。18年ぐらい前にですね、安斎さんのお友達から、イベントに誘われまして、それで何ですか?

A:(笑)何ですか?って、聞いてるんだから、聞いてないんだかわからない。(笑)

S:それで、バンドを一応つくることになって。ほかのバンドがね、マーブルっていうバンドとか、あとはコーヒービーツっていうバンドが出るんで、ついでにチョコベビーズっていうバンドの名前も決めました。みんなチョコレートに由来している名前だったんで。

A:そこがほんとの意味でのスタートなんですけど、実質的には、その後ぽそりぽそりと人のお祝い事の度にパーティーバンドっていうか、言ってみればそういうときに出させろっていう事でやってたんですが。3年前にラジオをやることになりまして、インターネットのラジオ。そこで、バンドの事を急に思い出して、一人でやるのも嫌だったので、佐川君を引っ張り出して、「ラジオチョコベビーズ」っていう番組を始めたんです。2人でその中で何となく思い出しつつやっているうちに、幾つかオリジナル曲が出来てきて。それを、やっぱり欲が出てまとめたくなったんですよ、僕の展覧会のBGMを。(笑)ひどいでしょ、BGMに流しちゃえば、だれでも聞くだろうっていう事で、プロデュースを古田たかしさんに頼んだんですが、音源を送る前に、一応オーケーをもらってから音源を送るというひきょうな手を。

F:(笑)いいっすよって言ってから音源をもらいました。

A:でも、そしたらほんとに面白いって言ってくれて、僕らのはほんとに面白いしか取り柄がないんで、非常に的確な分析だったんですけど、そこから本格的に自分たちがやりたかったバンドという形の出せる音を何とか日々探求しつつ。

T:一番最初は、どういう音を目指して始めたんですか?

A:一番最初はね、どうぞ。

S:チョコって、ちょっと茶色とかそういう感じなので、かわいくR&Bみたいなのをやってみようかなと。いわゆるシュガーソウルとか、そういうR&Bじゃなく、古いリズムアンドブルースみたいなのとか、やってみようと思ったんですけどね。

A:一番最初にスタジオに入ったんですよ。そのスタジオも、音楽関係の仕事してたんで、ヤマハの。

S:目黒の。

F:目黒のヤマハね、はい。

A:あ!違う。あそこのエピキュラスか。

S:エピキュラスにあった、結構、いい音も録れるスタジオか何か。

A:あるんですよ、すごい広いところ。そこのところを、なんか急にとってくれちゃって。

F:(笑)

A:まあ、優柔不断だったんで。そしたら、とにかくやりなさいとマネージャーの人に言われ、やる事になったんですけど。まだやる曲も決めてないし。ギター持ってきたんですけど、何でも弾けるって言ってたんだけど。

F:(笑)

S:自分なりにね。

F:(笑)

A:何が弾けるの?って、「いや、ストーンズだったらできますよ、安斎さんも知ってるでしょ」って言うから、「え、じゃあ、ジャンピングジャックフラッシュやって」って言って、始まったら「ホンキートングウイメン」だったの。

S:(笑)そんなこたあないよ。

F&T:(笑)

A:(笑)これはどうなってるのか?と、この男は。これは怪しいっていう事で、その場で練習しなさいって、スタジオに入るよりはっていう話になって、そこからですね。初めてはそういう感じだったんですけど。

T:最初のオリジナル曲は、どういう楽曲だったんですか?

A:一番最初のオリジナル曲っていうのは、佐川君の曲なんじゃないですか。

S:一番最初は、えーっと、朝起きて3曲つくったんですよ、15分もかからないで。で、それが「いとしのべーさん」っていう曲と、「ストリートソング」っていう曲と、あと「道路マン」だったんですよ。で、曲つくろうと思えばできるじゃんと思ってね。

A:もともとですね、ずっとカバーばっかりやってたんですけど、オリジナルに聞こえるって言われたんですよ。

F&T:(爆笑)

A:確実にオリジナルだと。

F:カバーが出来てないと。

A:友達にもいっぱい音楽関係の仕事、音楽の雑誌編集の人とか、評論家の人とか偶然見に来ちゃったりするんですけど、「いや、あのさ3曲目の曲さ」って。「あれ、オリジナルいいね!」って言われて、「いや、あれって実は……」みたいなね。ニールヤングの曲なんだけどみたいな。「ええーっ!」って。

F:(笑)ちゃんと歌えてないって事だね。

T:すごいですね。

S:すごいですねって、ほんとに思ってます?(笑)

A:演奏も出来てないんですよね。ほんとそんなボロボロなすごい状態だったものが、ここまでほんとにですね、この人のプロデュース能力はすごいですよ。

S:まだ出来てないんですけど。まだまだですけど。

T:お二人の初めての出会いって、どの辺だったんですか?

S:編集見習いとフリーイラストレーター始まりみたいな。

A:僕はデザイナーだったんで、音楽雑誌の方に努めてて、佐川君がね。営業ですよね。

S:営業やってたんですよ。

A:「プレイヤーマガジン」っていう。

S:「プレイヤーマガジン」で営業やってたんですよ。広告営業をやってたんですよ。

A:僕は、普通にデザイナーやっていて。チェッカーズのパンフレットをやる時に、僕がデザイナーで、彼が進行役だったんですよ。

S:全然「プレイヤーマガジン」とは関係なかったんですね、その時は。

A:そのときにはもう辞めてました。

S:辞めてました。

A:その前に、その頃なんですけど、同じような時期に、同じその場所で「TORA」っていうカセットマガジンとかを出していて、そこで僕が編集して、漫画だけのカセットマガジンを、ビジュアル雑誌みたいなのを出してたんですよ。そこの中で、カセットマガジンの音をつくってた上で、古田たかしさんに。

F:1曲やりましたね。

A:その時、ドラムじゃなくて

F:なぜかギター。(笑)やっぱりこの人にかかわると、そういう事なんじゃないかと。

A:あの時は、所さん。

F:所さんの曲、

A:の曲を

F:僕がギター弾いて、竹中さんが歌う。

A:所ジョージさんがつくった曲を、竹中直人さんが歌うっていう。それのギターを。

F:(笑)なぜか。

A:しーたか選手を連れてきた加藤君っていう友達がいたんですけど、放送作家で。彼が全部セッティングしてくれたんですけど、そこで初めて。ドラムの人なんだけど、ギター弾いてるわっていうのが最初の印象なんで、だから、僕の中ではチョコベビーズを始めた時も、別にドラムの人っていうよりも、ギターも弾けるし、何かいろいろ出来そうだっていう、そっちの方が強いんですよね、どっちかというと。

T:じゃあ、3人初めてあったのは、かなり前という事に。

F:そうですね。佐川君と僕も。

S:今、話に出てきた加藤さんっていう人からは、ずーっと話を聞かされてたんですよ、「知らない? 知らない?」って。「会ったことないの? しーたか」とか、「知らないの?」とか、もぐりのように言われてて。それがもう15年とか20年近いはずですね。

A:知ってるけど会ってないんですね。

S:「知らないの?」って、会ったことないのかっていうことなんですけど。で、一番最初に直接会ったのは、多分、横浜スタジアムの佐野さんの2daysのときで。

F:「カフェボヘミア・ミーティング」。

S:ライターで、取材に行ってて、2days丸ごと密着取材みたいなのをある音楽雑誌でやって。その時に紹介されて。

F:紹介されたんだね。

A:やっとなんか音楽的な話。

F:(笑)

A:やっと出てきましたね。

T:話は戻るんですけど、ライブを結婚式とかそういうところでやっていて、だんだん曲ができてきて、最初にしーたかさんに聞いてもらった音源というのは、どんなものだったんですか。

A:どんなもんだったか?

F:「ラジオチョコベビーズ」で2人でやってる音源をCDでもらって、それを聞いたんですけどね。まあ、しょぼいもんです。(笑)

A&S:(笑)

F:いや、でもね、しょぼいながらも、すごい、もうなんか、「何だろう、これは」って、引きつけられるものがあるんですよね。すごい説得力があって、これは何がいいのかな、何が面白いのかなって、ほんと何回か聞かないとわからなくて。やっぱり興味津々になっていってですね。で、これはきっとストーンズっぽくすればいいんだな、これはストーンズにしたいんだなとか、そういう意図が読み取れるわけですよ、何回か聞くと。そういう感じでやってって、これはストーンズ、これは何とかって紙に書いていって。で、個展のバックで流す音っていうのを、「じゃあ、どれにします?」っていう話でやっていって、「これとこれ、録ってみましょうか」って。

T:その安斎さんの個展って、どういう個展だったんですか?

A:それは、北海道でやる個展だったんですよ。東京とか近いところだったらば、会場に行ったりとかしていろいろケアができるんですけど、全く出来ないという事と、初めて僕はそれまで入場料をとったことがなかったので、入場料をとるっていうのがすごく嫌で、何か過剰にしたくなって、それは多分、来てるお客さんにとっては迷惑なことだったみたいなんだけど。

F:(笑)繰り返し、繰り返しチョコベビーズが流れる個展。

A:そんな何曲も録れるわけじゃないじゃないですか。5曲だっけ、6曲だっけ?

S:結構、録ったよ。10曲ぐらいあったよ、あれ。

A:そうだっけ。でも実質的にリピートしてたのは、6曲ぐらいだったんですよ、たしか。

S:「道路マン」とこになると消しちゃうんでしょう。

A:(笑)なんかね、余りに激しく歌ってるやつがあって、それは係の人が耐えられないって。

F&T:(笑)

A:「道路マン」とこになると、キューっと小さくしちゃって、それで都合がよければそのままBGMを低くしたまんまにしてて。それはいかんということで、まあ、何か都合のいい感じにしてもらったんですけど。でも、とにかく、もうちょっと何本かの指に入るぐらい楽しい体験だったんですよ、音楽をつくるということが。一緒に現場の中でね。これは、何かいろんな人達が、いわゆるそれこそロックの道にはまっていく気持ちもわかるなと。すごくね、「これだ!」と。なんかさっき言ったけど、これは気持ちいいし楽しいことだというのが、わかってきました。それはもう。最近はすごいですよ。レコーディングだけじゃなくて、ライブも楽しいですからね。

F:(笑)そこまで成長しました。

A:こっちまで楽しい。前は行くのも嫌だったんですけどね。(笑)

T:個展後の活動は、どういう形になってくるんですか?

A:個展でつくった音源を、この人がまた職業が放送作家というか……。

S:ライターとかそういう感じなんで、たまたま出入りしてるスカパーの局に行って、面白がって配ってたんですよ。そしたら、そこが新しくCDを出す部署をつくるっていうんで、そしたら「出してみませんか?」って言ってきたんですよ。で、「あー、いーっすよー」みたいな調子いいこと言っちゃって。それじゃ個展の時につくった音源を売るという事は、また違うだろうという話になって、新曲ふやしつつ、あった曲ももう一回レコーディングし直しつつっていう感じだったんですよね。

A:やっぱり何か違うんですよね、気持ちがね。何ていうんですかね、まあ、言ってみれば、別にギャラ払ってるわけでもないですけど、少なからず協力してもらって、展覧会で音を流すというのは、ある種、発表の場なんで、これは共感してもらえるだろうと思って、ギャラもなしにやってもらったりしたんですけど、でも、実際にCDをつくるとなるとね。聴く方は同じですからね。誰のCD買ってもいいわけですからね、買う方は。個展はもう、無理やりこっちが、とにかく聞かせてただけですからね。ちょっと表現として違うなと。でも、あのお金とるんだぞっていう感じって言ったら変ですけど、プロ意識なんて、もともとそんなに持ち合わせてなかったんですけど、これはいかんというんで、やり出すと、またこれが面白いんですよ。

T:レコーディングはどういう感じで進んでいったんですか?

F:いろいろですね。3人で「せーの!」でやる曲もあるし、ひどいのは僕が全部やっといて、それをギター入れ換えてとかやってもらうのもあったりとか。佐川君とふたりでやって、あとで安斎さんが来てやるっていうのもあったりとか。3パターンぐらいかな。

S:まあ、いろんな事をやってはみましたよね。

F:いろいろ。まあ、3人で「せーの」で録れるのが、一番いいんですけどね。一番ライブっぽいし。それが真実の姿だし。

T:スタジオは何日ぐらい入ったんですか?

F:うちの。

A:そこ!そこですよ、やっぱり。

F:うちの地下でやったので、もう時間はかけ放題ですから。

A:まあ誰かがオーケーしなければ、延々とお蔵に入るか、とめてやるか。非常にあれですよ、言ってみれば、友達ん家遊びにいって、一緒に音とって、それで終わると、「ご飯あるよ」なんて言われてご飯ご馳走になって。おまけにビールまで飲んで、すっかり居ついちゃってみたいなことを。言ってみれば合宿のね、準合宿みたいな感じでやっていって、それはね、わからないんですけどね、CDの中にそれが入っているかどうかは別としても、僕の気持ちは、多分一緒にやってた人たちも楽しかったのではないかと。この体験が非常に。

T:期間的には、上がるまでにどのぐらいの時間を?

F:その個展の音をとりはじめてから考えると半年ぐらいかかってるんですけど、その間、中間があるので、全部ぎゅっとやるとしたら、2か月か3か月以内でできてるよね、多分。

A:ですね、実質時間でいったら1か月ぐらいかもしれないですね。そんなに休みないですからね、今。勘違いしてると思いますよ。

F:あ、そっか。(笑)

A:すごい隙間産業なんで、チョコベイビーズは。たかしさんのスケジュールの合間をぬって。そこで、「次の日はちょっと民生君だし、きついな」なんていう時は、早く上がったりとかね、いろいろ。

S:あれだよ。普通のレコーディングで日にち出したら、10日ぐらいはやってますよね。一人でやってる部分があるから。

A:それはね、すごい大変だと思いましたよ。

S:労咳だったと思う。

A:それは後の20日間は一人でやってたんですよ。

T:CDの収録曲順は、どういう風に決めていったのですか?

S:最終的には古田君にお任せして。

F:曲順は僕が決めて。

S:ミュージシャンが考えたほうがいいだろうって。(笑)

F:僕も(皆が)考えてくれるかなと思ってたんだけど、「やって!」みたいなことになったので。

S:おれも一応考えてたんだけど、当たり前だねって言い出したんですよ。

A:僕も考えたんですよ。もちろん最初は考えたんだけど、僕、佐川君のレベルっていうのは、何かね、好きな子にカセットをあげるぐらいのレベルなんですよ、曲順の並び方が。あと自分たちの思い入れみたいな。個人個人の思い入れみたいなのになっちゃうから、それはいかんと。やはりちゃんとアルバム1枚通して頭から最後まで聞いてもらえるように。その作戦がうまくいったかどうかはわからないですけど、僕は自分でも、自分の声だからあんまり好きじゃないけど、すーっと聞けちゃった。

F:ストーリー性は多分何かあるかなみたいな事を考えて、ここで山があって、ここで落ちてみたいなことは考えたんですけどね。

A:だって、最初に録った時って、そんな考えてないですからね。めちゃめちゃじゃないですか。曲それぞれ1個ずつ。それで、とってる間に、おれもっと悲しい曲がいいなと思い出しちゃったりとか、もっとちゃんとした、世間に対して訴えたいとか色んな人の思いが出てきて、それでばらばらになってくわけですよ、どんどんやってる作業が、曲によって。それはそれで楽しんでるし、出来ちゃう人じゃないですか、合わせて。そうやってつくってもらっちゃったものだから、あれはね、意外とばらばらにするとね、並べづらいものですよ。ね。

T:全部で19曲ですね。

F:そうですね。もう曲と言えない短いものもいっぱいありますが。

T:一つ一つの楽曲のお話を伺っていってもいいですか?

A:かなり記憶が。

F:はい。もうかなり忘れているのもありますが。

T:まず、1曲目の「お花がいっぱい」これはどういう曲ですか?

F:これは、もう、ストーンズの「サタニックマジェスティーズ」の感じの何か曲ができたらいいなという安斎さんのリクエストに。

S:曲がっていうよりも、それは雰囲気だったらしく、みんなが出来ない楽器をやってる感じとか、そういうのを出したかったらしいんですよ。だけど、その説明がおれには伝わらずに、サイケっぽいのがいいのかなっていうんで、とりあえず簡単なのをつくってきて。

F:それでうちでそれをどうしよう、ああしよう、こうしようとかいって、こねくり回してああいう風になったんだよね。

A:あれ、タブラ中に入ってるやつ?

F:タブラマシーン。あれは、手叩きじゃなく。あんなできないです。

S:タブラマシーンいいですよね。

T:2曲目。「朝だチョコベビーズ」。

A:これは佐川君がつくった曲。

S:「ラジオチョコベビーズ」で、テーマっぽいのつくらない?とかって言われたんですよね。

A:番組のテーマが欲しかったんですけどね。

S:そしたら、それをまたおれが勘違いして、バンドのテーマかなという事で。

A:バンドのテーマつくってもらってもね。バンドのテーマって、もうね、これつくっちゃったじゃないですか、チョコベビーズのテーマ。そうすると、ライブの時にやらなきゃいけないわけですよ。めちゃめちゃ演芸感が強いんだな、これが。これがね。

F:特に1曲目にやんなきゃいけないみたいになると、なんかね。

A:それで、しかも詞も、「ぼくらはチョコベビーズ」ですよ、もう。

F:演芸だね。

A:もう演芸感が強くて、ある人によると、「何が始まったんだろう?」って。あんなロック、ロック言ってた男が、演芸じゃねえか、これはっていうふうに思ったらしい。しかも2曲目聞いても、まだそう思ってたっていうから、それは2曲目の僕の問題かもしれないですけど。

T:では3曲め。「ヒョンマル」

A:3曲目ですもんね、「ヒョンマル」ね。「ヒョンマル」はね、うまく出来るという事があるんですよね。そこをうまくひろったんだと思うんですけど。だからちょっとバンドの可能性をすごく感じたんですよね。内容的にはすごい、最近わかった事なんですけど、加川良の『教訓I』と内容的には一緒なんですけど、表現が全く違うように聞こえると思うんですけど。気持ちとしたら同じような気持ちでつくった曲です。

T:なるほど。では、4曲目の「ピクニッコ」は?

A:これは、その展覧会の、僕の、その北海道でやった「キャラフル・ピクニッコ」っていうタイトルの。わあ、恥ずかしいな……。(笑)

F&S&T:(笑)

A:展覧会のテーマ曲で、「ピクニッコ」。「キャラフル」はさすがに恥ずかしかったので。

S:もう、あれですよ。ピクニックの何とかって言われて、恥ずかしいねとか言って、うちで、また朝起きて、朝起き抜けにつくって、それを持っていって、どうですかねみたいな。

A:で、それを具体的に。

F:それで何か、いろいろまたリクエストを聞いて、行進曲みたいな感じも入るといいとか、何かいろいろ出てくるので。

A:結構、影では勝手な事を言ってるんですよ。

F:それを踏まえつつ、変えてって。

A:で、おれに「歌え!」と。

S:当たり前でしょう、そんな事。

A:仮歌を佐川君が歌ってるんですよ。それが、この人、自分でつくった曲の構成がわからなくて、めちゃめちゃになってるんですよ。メロもなくなっちゃってて、自分でも手さぐりで仮歌を入れる。手さぐりの仮歌を頼りに歌えって言われても歌えないじゃないですか。おれも、「こんなかな?」とか思いながら、自分でメロディつくりながらですよ、つくりながら歌ったんですよ。で、「もう、できない」と。「きょうはできない」と言ってたら、それを僕らが帰った後に。

F:うまく、いいとこ拾ってつなぎ合わせて。

A:コラージュして。すごいいいですよ。

F:だから、仮歌がかなり生きてて、仮歌のむちゃくちゃな部分が、すげー面白いんですよね。偶然ハモってたりするっていう、それが、もう。

A:僕も、だって、ちゃんと入れてないんですよ、最後まで。仮歌のまま。仮歌聞いた仮歌のまま。仮仮同士だもんね。

F:それがオーケーテイクです。(笑)

T:5曲目。「ピクニック・ブルーズ」は?

S:それは、あれですね。もともとちょっとあって、何かそのラジオチョコベビーズやってた時からあった歌があって、何であれをもう一回やる事になったのか忘れちゃったんですけど。

F:ピクニックに行けなかった子供が嘆いているという曲ですよね。

A:展覧会のことばっかりで申しわけないんですが、展覧会の事を思えば、雨の日もあるだろうと。で、「何だよと。ピクニッコとかいいやがって」と。「こんな雨の日に!」とか、北海道で雪の日にかもしれないし、そんな時にちょっとブルージーな感じの。

F:ブルージーか。(笑)

A:わりとね、人生、この人(→佐川)ぼやきタイプなんですよ、ぼやき体質なんですよ。

F:ブルースマンなんだよね。

A:割とブルースマンなんですよ。その感じを表に出した感じにつくってもらいたかったんですけど、ほんとに寂しい感じになっちゃったね。これですよ、だって、この曲、僕は最初全部、しーたか選手に並べてもらった時に、「ピクニック・ブルーズ」あれさ、3秒ぐらいでいいよねって。

F:そうそう。(笑)3秒はちょっと余りにかわいそうで。だって、5、6分まではいかないけど……。

S:ちゃんと2番、3番ぐらいまであった。

F:3、4分は絶対歌ってるんですから。それをちゃんととってあったのに、3秒で終わっちゃやっぱり余りにかわいそうなので、出てきてフェードアウトするというような。

A:にしたんだけど、それにしても、もっと短かったですよね、入ってるやつより。

それからまた延ばしたんだもんね。

T:(笑)次、「石」は?

F:「石」は、佐川君の。

S:これは、ある番組をやってて、それがなんかセルフライナーノーツという番組で、1枚のアルバムを事細かに聞く番組なんですよ。で、1曲、1曲説明してもらったりとかっていうインタビュー番組があって、そこの時にあるヒップホップの人が来ましてですね、ダイヤモンドとかっていう曲をちょっと、あれなんですね、あったんですよ。まあ、「ダイヤモンドかよ」みたいな感じで、最初。それで家帰って「石」っていうのができて、それでマービンゲイのやつみたいな、ベーンジャジャジャンジャーンみたいなのをイメージしながらやったら、全然違うものになっちゃったつう。

A:(笑)

F:マービンゲイには、僕には全く聞こえず。

A:もはやどこの石かわからない。(笑)これね、何度聞いてもね、どこがどうなのかもわからない。マービンゲイがどこにいるのかがわからない。いろんな石を、こうあけてみてるんですけどね、だんご虫しかいないんだよなー。(笑)

F:かなりの、やっぱり、僕にはやっぱりニールヤンギーな、ニールヤンギッシュに聞こえて、すごいそっち方向にしたほうがいいなと。ギャーッっていう、破壊方向のあれでいきたいというふうに言って、ああいう感じに。

T:なるほど。それで、「KAPPA地蔵」、これは?

F:「KAPPA地蔵」は、僕の曲でして、なぜあの曲を入れるようになったのか。

A:その、食事の時間に、なんかいろいろ、それぞれの身の上話になるわけですよ。ちょっと親戚の。

F:めいっ子の話になって。

A:「写真があるんだよ」って見せてくれた写真が、「このポーズがさ」って。

F:カッパ地蔵に見えるんだよっていう。カッパ地蔵って、まあ、そんなものがあるのかどうなのか知らないですけど、その子が家に遊びに来て、テーブルの下で、何かこんなことやってるんだよね。

A:(笑)

F:それが、もうすげー、カッパ地蔵なんですよね、どう見ても。

A:パウチっこしてあるの、それが、きれいに。

F:すごいショッキングで、その写真だけ。これはすごいわみたいな。

A:で、僕と佐川君がもともと立ち上げたバンドだったせいもあって、僕らのつくった曲を持ってきた事もあって、古田君の曲がなかったので、古田君も曲をいっぱい書いてるし、好きな曲とかもあるんで、またつくってほしいなと思って。で、レコーディング中につくってって。「じゃあ、カッパ地蔵でつくろうかな」って軽く言ってましたよ。でも、すごい完成度のある。

F:題材はそれでいこうって。一応ドラムソロにつながる曲もあってもいいかなみたいに思って。

A:それは僕が、営業マンなんで、ピン!と、これはライブやる時に、古田たかしのドラムソロがないと、「金返せ」とか言われるんじゃないかと思って、ソロを入れておこうと思って。

F:(笑)

A:ここに何か入れとけって。その頭のドラムとか、僕が構成しましたから、無理やり。ドラムソロを入れるために。その、いろんな意見や思いつきやらを一つに最終的にまとめてって。

F:で、そのめいっ子も「カッパ!」と一言言ってくれてるわけで、そういうファミリーなアルバムと。

A:やっぱり食事しながらですからね、打ち合わせが。

T:8曲目「フルートだよチョコベビーズ」。

F:これは。

S:個展の時にまずやってみたんですよ。

F:そうですよね。だから、「朝だよチョコベビーズ」の変奏曲っていうような事で、やってみたんですよね。まあ、つなぎみたいなもんです。(笑)

S:フルートが聞けます。

A:あるとないとじゃね、大分違います。

T:次、「マイクイマンfeaturing MASTA 8」

S:これは、曲づくりに詰まってですね、またいつものように何かつくっては来たんですよ。曲づくりに詰まったかどうかは別として、これ駄目じゃんという、駄目じゃんという話だったんですよね。

F:二人で、とりあえず。

S:もう一回やってみたんですよね。

F:録ってみたんですよね。で、これはどうしようって。初めに詞もあって、その詞に合わせて作ってみたんだけど、何かただ暗いだけだねっていう曲になっちゃって、すごいもう、暗礁に乗り上げた状態だったんですよね。それが、あるご飯の時の会話がきっかけで、「マンクイマン」というストーリーができたんですけど。それっていうのが、長くなりますけど。
A:(笑)

F:さっきから言ってる放送作家で、もう亡くなっちゃった加藤さんっていう人の忘れ形見のタケル君っていうのがいるわけですよ。その彼が、もう小さいころからね。加藤さんっていうのは面白い人で、いろいろ嘘を言って、「僕は二十歳だよ」とか子供に言わせて、「酒下さい」とか、そういうことを子供に言わせるような人で、もうタケル君に向かって、「この佐川君は、フランスで人肉食ってたんだよ」って。

A:かなり放送対応が難しい話なんですけど。

S:それで、いい加減大きくなるまで、成長するまで、おれが人の肉を食うって、ずっと信じてたんですよ。だから、おれがいると泣くとか、親の影に隠れるとかしてたんですよ。

A:最初はそんな事なかったんですよ、普通に。

F:それを言ってから、すごい怖くなっちゃったんですよ。

A:それで、しかもそれが、加藤君が亡くなって、お葬式にこの男も登場したわけですよ。そしたら、タケル君っていうのが、今はもう18で。

F:今は18才でアメリカの大学に行ってますけど。

A:もう、その頃はまだ10歳にならないぐらいで。ちょうどそんな感じのやつだったんで、「あ、お父さんを食いに来た」って思ったんだって。(笑)佐川さんがお父さん食いに来たって。「食われちゃう!」って思ったらしいですよ。で、そのエピソードが面白かったし、もともと僕らは、言ってみれば加藤君っていう人のつながりで、仲間になれたという事もあるし、タケル君っていうのが、ずっとしーたかを慕って、ドラム習ったりとか、直接的じゃないかもしれないけど。しかも、チョコベビーズのレコーディング話で、すごい興味を持って、「何かやりたい!」と。やりたいと言われて、なめられてるところもすごいんですけど。

F:(笑)で、この曲でラップで参加してもらって。

A:で、まあ、普通ね、参加して、友達じゃないですか、知り合いの子供を参加させて、featuring はないだろうっていうことで、つけてみました。偉そうでしょ、なんか。そしたら、MASTA8とかつけちゃって。

F:自分で考えてきて。タケルってやるよりは、MASTA8。ラッパー名ですね。

T:いいエピソードですよね。

A:S:F:(爆笑)

S:おれが人肉を食ってた話が?

T:では、10曲目「ウルフ」。これは。

A:「ウルフ」も非常にいろいろ難航した曲で、もうそれは単純に僕が詞が書けなくて、詞がなかなか書けないうちに、でも、一個だけ、これは、古田君に頼もうとね。もともと嘘っていう、違ったっけ?

F:ウルフは違う。

S:それは「アバウト」です。

A:そっか、「アバウト」か。「ウルフ」はもともと。

F:あった詞で。

A:あった詞だ。だから、それをつくってもらっただけだ。

F:これは結構人気がある曲だよね、ライブとかでも。

A:すごい小さい中で人気投票してますけど。

F:人気がある曲で、3人とも一応リードボーカルをとるという曲であるので。

A:好きなんですよ。こう、1曲の中でいろんな人が次々歌ってる曲が。そういうのを一度やりたいなと思って。

T:次、「墓石」。

F:そうですね。佐川君の曲です。

S:これは、まず、営業の安斎さんが、佐川君のボヤキを入れつつ。

A:ラップでやれと。(笑)

S:ラップをやれと。(笑)

A:もう気づいてると思いますけど、佐川君は、福島の生まれで。

F:なまってますから。

A:かなりもう、これがほんととれないんですよ。昔は、銀行の機械が、電話で銀行にいろいろいろんな問い合わせする事が出来たんですけど、それの番号も、なまってて。

S:番号じゃなくてね、「メモの用意ができたら、『どうぞ』と言ってください!」って言うんですよ。そうすると、「どうぞ」って。「プレイヤーマガジン」に勤めてた時に、銀行から電話がかかってくるんですよ。朝、掃除してる時に電話がかかってくるんですよ。で、「メモの用意ができたら『どうぞ』と言ってください」みたいな電話なわけですよ。それを、おれは「どうぞ!」って言ってるつもりなんだけど、「どうぞ!、どうぞ!、どうぞ!」って言うと、ずっと作動しないんですよ。

A:「どうぞ!」は間違ってない。イントネーションが違う事と、「どうぞ」が間違ってないという事は別の事で。

S:おれは、ずっと、「どうぞ!」、あれっ、「どうぞー!」って。

A:で、社員がどんどん来て、まだずっと、「どうぞ!、どうぞ!」って。

S:だんだん声が大きくなって、「どうぞ!!どうぞ!!」って言ってると、先輩がきて、何やってるんだよ、「バカ!」って言ったら、ピピーって。「何とかかんとかから振込がありました」とかって言うから。

A:「バカ」でも通じるのに、、、。

S:「バカ」でも通じるのに、おれの「どうぞ」で通じないっていう。

F:(笑)上がっちゃいけなかったんだ。

A:「これはすごい!」と。この才能はもったいないじゃないですか。実際、いるわけですよ。福島の人達もね、CD欲しいじゃないですか。その時に、仲間が出たらすごくいいんじゃないかと思って、すごくなまり全開で歌ってくれと。それにはラップがいいと。メロディ関係なしに、リズムだけで。で、やった曲ですよ。

F:でも、リズムにはまってないし、もう。(笑)ぼやきです、ぼやきです、これは。

A:もうね、いいんですよ、すごく。何かね、気取ってて、東京弁に直そうとするんですよ。いや、ちょっとそこまでは言わねえなってよく言うんですけど。でも、ね、ほんとはもっとニュアンス出てたほうが楽しいのに。サンボマスター目指せですから。今度から真ん中に立ってもらおうかと。

F:(笑)

T:12曲目の「ハル〜ウンギャー星人がやって来る〜」。

F:「ハル」は、個展用にやった曲ですね。僕がいろいろオーバープロデュース気味に、ちょっとジミヘンっぽくしようよとか、何とかしようよって、どんどん重ねてっちゃったりとかしてやっちゃった曲なんですけどね。それでアルバム用に録り直そうっていって、3人でせーのでやるシンプルなバージョンっていうのもとったんですけど、まあ、アルバムにこういう曲があっても、1曲ぐらい、ダビングが多い、沢山、音がかぶさってるのがあってもいいかなということで、こっちを採用したんですけど。また僕のめいっ子なんですけど、そのめいっ子の為に昔CDをつくったんですけど、それで、そのめいっ子の歌やセリフがあるんですけど、そのセリフをちょっと途中で逆回転にさせて分けわからずの感じをつくってみようと思って入れたりしたので、「ウンギャー星人がやってくる」というのも、そこからサブタイトルがつきました。

A:並べたときの想像がつかないから、1曲1曲で、こっちは何となく、その目の前のものしか見えないけど、並べると全然、バラエティがあるとも、別にさしてそうも思えないし。ね。普通にすーっと聞けるよね。僕らのつくったときの意識では、ここまでやっちゃうと、自分たちのちょっと何か、ちょっと不相応な感じがするんじゃないかって、僕と佐川君の感じとはちょっと余りにうまくでき過ぎちゃってるんじゃないかなって思ったけど、考えてみればほかのところでやってますから。

T:13曲目「ブルル」

A:「ブルル」は、暗い曲がすごくやりたかったので、無理やり暗い曲に、どんどん暗い曲にしていくという作戦でつくってみました。

S:これは、一番最初違う曲を持ってきて、はめてたんですよ。チョコベビーズはどっちかというと詞先なんですよね。安斎さんの歌詞があって、適当に曲をおれがつけてくみたいな感じで、2曲ぐらいに試してみたんですけど、もう1曲は、あんまりにもセンチメンタルっぽかったので、目の前で演奏したりカセットに入れてきたりはしなかったんですよ。だけど、コードだけは出てて、残しておいたやつがあって、これどんなの、やったら、いいじゃんとかって。それが採用された。

A:いや、なんかね、不思議なんですよね。1番と2番が違うんですよ、メロディーが。

S:しようがないじゃないですか。

A:それはしようがない事かもしれないけれど。

S:1番しか歌わないようにするよ。

F:(笑)

A:(笑)次の展開がわからないじゃないですか。でも、非常になんかね、不思議なちょっと引きつけるようなメロディーをときどき出すんですよ。それをね、この人の判断の、銀行のコンピューターには通じないからですね、これは聞かせてみろと。

F:で、聞いたら、すごいやっぱりいい曲だなと思って、これは入れましょうよ、これでっていう感じで。

A:ぐっときましたよね。

F:うん。すごいやっぱ、感覚すごいっすよ、この人は、実は。こう見えて。

S:褒められると。(笑)

A:それが微妙なんですよね、ひどいものもいいものも一緒なんですよ、(笑)この人の中では。それを、ちゃんとプロデューサーがいて出してくれるようにしないと。

T:14曲目「お昼ねべーさん」。

F:この3人と、タケルがぽこぽこたたくということで、参加して。4人でやりました。

A:ラジカセでとったんです。

F:ラジカセでとりました。

A:遊びに来たときにね。断らないからね。(笑)

T:15曲目「ジャンプ」。

S:これは、一番最初、安斎さんの,さっきも言ったように詞先なんで、歌詞にカンガルーブガルーっていうのがあったんですよ。じゃあ、これはブガルにしようとかって、ブガルって何だって、ブガルの資料を、うちにある資料から持ってきて、ブガルを聞いてみたんですよ。そうしたら、やっぱり、ちょっとした。

F:ラテンなんですよね、完全に。

S:ラテンなんですよね。じゃあ、パーカッション入れて、あとラッパがないとだめなんですよね、管が入ってるっていう感じと。なんかぱんぱん手拍子がいっぱい入ってたりとかしてみたら。で、一回ちょっと、すごいの3人でとってみたんですよ。

A:(笑)すごい陽気な感じの。

F:もう僕がドラムじゃなく、もうパーカッションをたたき。

S:それでもう、トゥルルルルルッホーとかって言ってるんですよ、みんなで。

F:なんかブガルを勘違いして。

A:違うよねみたいな。

F:で、やったんですけど、それはもちろんボツ。もう、全然。(笑)

A:あれはすごい勘違いでいいんだけどね。

F:いただけませんでした。

T:で、どこでジャンプに?

F:それで、まあ、何か、でもあれはやりたいねっていう、ジャンプはやりたいねっていうことで。

A:すごいアッパーな感じのね。

F:じゃあ何かあるかねとかって、ストーンズの「ゲットオブマイクラウド」

S:の頭のところみたいなドラムは?みたいな。

F:ドラムパターンどう?みたいに言われて、じゃあ、いこうとかってやって、「あ、はまるはまる」って。その感じでやってって。やってくうちに歌も僕に。しーたか歌わない?とか言われて。

A:いやもうね、もう無理なんですよね。なんか、しーたかの声がいいって思い出したら、もうね、歌う気力すらなくなってくるんですよ。いや、非常にね、何ていうんだろうな、不思議な声してるじゃないですか。声っていうか、どういっていいかわからないですけど、質のことを言えばいいのかな、何か不思議なね、何かね、こう、のれんのような声なんですよ。

F:のれんですか。(笑)

A:こう、(笑)しーたかの声のれんで。なんかね、存在がありながらも、でもなんかこの人って、すごいなんか空気みたいな感じの人っていうイメージで、詞はなんとなくできてたんですよ。なんかアボリジニっていう人達の生活のドキュメンタリーを見た後に、いろいろいじってつくった詞なんですけど。その時に、そのイメージと、しーたかの声がダブって。ああ、もう、こんななんか、ほんとに考えてんだか考えてないんだかわからないやっていう感じがね、もう、ほんと、ちょっとね、顔だけじゃなく出てるんですよ。顔だけじゃなくって(笑)顔が、もうほら、バカボンのパパに似てるっていうのは有名な話じゃないですか、皆さんご存じだと思いますけど。ほんとにね、東の空から上がった感じがしたんだよな。あ、西の空からか。(笑)すばらしかったです。それは絶対出せないですからね。

F:それで、テイク1か2かそれぐらいですよね。あんまり歌わせてくれなくて。

A:だって、どんどんうまくなるに決まってるんだもん。表現力が出てきちゃうと、この頼りない感じと言ったら変ですけど、のれんみたいなのがなくなってくるんですよ。

F:これでいいの?って思いながら歌ってる感じが、多分そこに出てると思うんですけど。

A:ぼく、この曲が大好きで、もうこの曲だけを聞いたりするんですよ。CDのっけてこれだけ聞いて。そうするとなんか元気になるんですよ。ある日に、しーたかさん、プロモーションビデオ、あれでつくろうって。もうあれ、絶対つくったほうがいいから。もうイメージあるから。海岸に行って、「シーサイドバンド」みたいにしてやろうよって言って。「いいね」なんて言ってくれたんだけど、全然乗ってなくって。どうやら気に入ってないみたい。(笑)

F:というか、ちょっと恥ずかしいじゃん、あれ。

S:もうアロハ着てさ、古田君が「ダメ、ダメ」ってやってるの見てみたかったよね。(笑)

A:こういうの持って、YMOみたいな振り付けしたビデオが、もう、これいいなと思って。大好きなんですよね。これ、すっごくやる気のない感じっていうか、やる気を見せないのにもかかわらず、人にやる気を起こさせる、とても不思議な曲なんです。小学校の子とか好きですよね。ちっちゃい子が好き。

F:その僕のめいッ子の学校で、ちょっと一時はやったとかって。めいっ子とめいっ子の友達が、ライブで参加してくれたんですよ、僕らのライブにコーラスとして。そのときに、やっぱりその2人は学校でしょっちゅう歌ってたらしく、ちょっと学校ではやったんだよって。自慢されました。(笑)

A:(笑)

T:さっきも少し出てきましたが、「アバウト」は?

F:「アバウト」がさっき安斎さんが言った。ちょっとどうしようかって言ってた曲で、それに僕が曲をつけて、こんな感じでやって。やっぱり歌い方に結構悩んだんですよね。

A:そうですね、なんかね。ちょっとね。一度はまるとね、なんか悪いほうにはまってしまうと、結構ね、戻れないじゃないですか。

F:「アバウト」だから、アバウトに歌えばいいんだけど、アバウトじゃなくなっちゃったんだよね。

A:アバウトをジャンプでやられちゃってるからね。(笑)

F:(笑)

A:難しいかったですね。難しいなとも思うけど。それがこうやって形になっていく段階はすごく楽しいですよ。

S:コードの数が違うんですよね、古田君の曲とおれのつくってきた曲って。

A:(笑)

S:必ず2倍から3倍あるもんね。

F:僕、展開がいっぱいないと、どうも曲として成り立ってないんじゃないかと、ちょっと心配なとこがあって、ちょっとふやしちゃうんですよね。

S:おれは、コード知らないですからね。

F:大体2つか3つのコードで曲ができてるっていうのが多くて。

S:一つかもしれないですけどね、「道路マン」とかね、わからないですから。コードのあれが。

T:次のタイトルの、「アニマンマン」とは?

S:「アニマンマン」は、最初なんか、これは曲つくったんですよね。

A:曲が先で。

S:「ラジオチョコベビーズ」で曲があって、どうですかねって。

A:こんな曲つくったんですよって言われて、そのとき僕、電車に乗りながら、番組行く前にメモしてたのがあって、横っちょに「アニマンマン」って書いてあったんですよ。わかんねーなと思って。まあいいやと思って。ちょっと歌ってみるわって、いきなり適当に歌って、そのまんま。で、ほぼそこで出来ちゃった。

S:サビの部分は、歌った時に、あれですよね。「パパン・パン、パパン・パン」って言ってたら、それが生かしていただいたみたい。最初に弾いてみって言われたときに、そのままを。

A:パパン・パンは最初からだった。

F:これが、初めて聞いたときに、うーんなんだろうって思って、きっとストーンズやりたいんだろうなと。

A:(笑)これがそうか。

F:と思った曲ですね。

A:ストーンズの曲だったんだね、聞かせたのは、きっと。

F:そうなのかな。

A:カバーだったかもね、最初は。

T:そして、「道路マン」。

S:これも一番最初にチョコベビーズ用に書きましょう、つくりましょうみたいな、その「ラジオチョコベビーズ」で言われて、その朝5分ぐらいで3曲できたやつの1曲。

F:僕は、すごいすばらしい曲だなと思ってて、一番最初に、聞いたときにアイデア浮かびましたよね。

A:これ、構成変えてもらったんですよね。曲の最初の構成は微妙に違ってて。でも、非常に。

F:なんか説得力のある。原曲から説得力があるなと思って、すごいなと。

T:これは詞はどんな感じで発想というか、最初のきっかけは。

A:最初は、ちょうどJRの階段のところに、雨漏りするからっていって、雨漏りをしてますから、横を通ってくださいっていうだけの男の人がいたんですよ。その人って1日寂しいな、その生活と思って。

F:(笑)

A:そうやって考えると、道路の行き先をやってる人っているじゃないですか。あの人たちって1日こうやって、ただ下ぶらぶらぶらぶら象さんみたいにしてるだけで、かわいそうだな。しかも責任あるじゃないですか、非常に。なんか、やってることと、その責任の大きさが、すごく比例しないような気がして。これはなんかちょっと普通に道路の歌だけ歌ってみたらおかしいかなって、単純に。あと、応援歌なんですけどね、僕は、だから。道路の応援歌。意味がわからないですけど。いろんな道路を応援している。

S:難しいあれだよね。でも、なんかね、ほんとの話なんですけど、猪瀬直樹の事務所に働いてる人が、すごい気に入ってくれて。

F:道路公団のあのころ?

S:そうそうそう。

F:ほんと?

S:それで聞かせようかなって。あの人にはわからないんじゃんって言ったんですけどね。

A:何で、聞かせてよ。聞かせてだめならいいけど。

F:あれでばんばんテレビで、あのころ流れてくれれば。

S:あー,そうですね。

A:でも、そういうある種の歌ってる意味がわからないところありますよね。なんか。

F:でも、道路族を馬鹿にしてとか、そういうふうにもとれそうだし。

A:めちゃめちゃな、道路行政のことをね。疑問を持つ人もいるでしょうし。基本的には。

F:何か含みがある感じはしたな、僕も。

A:多分ね、僕は自分で言うのも変ですけど、ボーカル的に一番頑張ってる曲なんですよ。

F:(笑)

A:僕が初めてchokobabyzでボーカルで頑張れたのが、この曲なんだよね。「ハル」とこれだよね。

S:びっくりしたもん。スタジオで一生懸命歌ってる姿。これ、ラジオのスタジオからなんですよ。だから、この人って、変わってると思って。

F:(笑)

S:こんなラジオのマイクの前で、こう、あ、真面目にやってくれてね、すごいね、うたれましたよ。デザインとかイラストの仕事以外でも、力入れてやってるのを初めて見た。

A:たしかにね、そういう意味では失礼なことをしてるのかもね。

T:最後の曲ですが、「おやすみチョコベビーズ」。

A:やっと来ましたね。19曲長いですね、やっぱり。

F:これもだから、「おはようチョコベビーズ」の変え曲ですね。

A:リプレースみたいなものですね。

F:寝ましょうみたいな。

A:これは、だから、あれですよね。

S:ウクレレだけで。

A:玉置浩二ですから。3人玉置浩二やってみようということで、ささやくようにやってるんですけど、なんかね。難しいね。難しいってことがわかった。

F:佐川君って、やっぱりすごいよ、絶対。あれは、おんなくらっとくるでしょ、耳元で歌われたら。

A:ある意味、くらっと来たけどね。(笑) 

F:僕らは息多く出し過ぎてくらっとしちゃって。(笑) 

S:カセットでとったんでしたっけ?

A:いや、ちゃんと。

S:マイクでとったんだ。

F:3人別々にしたいので、やっぱりちゃんとオープンリール回しました。

T:では、最後になるんですけど、これからの活動とか目標等を教えて下さい。

A:どうっすか、リーダー?

F:へ?(笑) いやいや、でも2枚目つくろうかねっていう話にはなってまして。

A:やる気はあるんですけどね。ちゅうか、実際曲ができてるらしいんですよ。それで、ライブごとに最近のライブは間隔があいてるので、1曲新曲を持ってくるんですよ。非常に不安になるんですよね。どんどん、一人で先行されると。

S:おれ、ストップしてるんだよ。だから、待ってるのよ、安斎さんが歌詞をくれれば、そういうものになるんだけど、どうしてもつくってっちゃうと。

F:政治色の強いものになって。

S:攻撃的なものになっちゃうんですよね。

A:でも、それはそれで、佐川君のそういう面はバンドの一面として、僕らもサポートしていくっていう形はあるわけで、それはお互いにそれぞれをなればいいんですけど、うまーくバランスがこうなっていくとね、楽しいじゃないですか。何て言うんだろうな、バンドらしいことをしたいだけなんで、僕は。2枚目もそうですけど、ツアーとかもしてみたいなと。バンドらしいことがしたいだけなんですよ。

F:(笑)ツアーできるようになりたいね。(笑)それ、おもしろいと思うよ、多分。

A:多分、古田たかし史上始まって以来のしょぼいツアーだと思うよ。(笑)

F:そうだね。

A:あれ?しーたかが自分で運んでるよみたいな。(笑)いや、ちょっと小屋が狭いんで、スネアだけでいいですみたいな。(笑)

F:(笑)ありそう、ありそう。ね、こないだのお座敷ライブもあったけど。

A:ね。なんかね、いろんな体験をさせてるんですよ、この後大きくさせるために。もうね、それは言ってみれば、今まで今やっている、それこそドラムを、それこそメジャーな人達の活動と違い、僕らはほんとに言ってみればアングラですから、アマチュアというよりアングラですから、もう。こないだは、初めて裸足でドラムたたいて。お座敷の上でたいこをたたいたっていうね。

F:なかなかないですよ。

A:まだいろいろ用意してますんで。会場にやくざがいると。

F:うわーっ。(笑)それ何、どっきりカメラじゃん。

A:いやいや。撃ち合いが始まるとか。(笑)

F:わーっ。

A:これからバンドはいろいろ乗り越えなきゃいけないものがありますので、大変ですよ。金のことでもめたりとか。ラモーンズみたいにTシャツの売り上げでもめたりとか、いろいろするようになってます。(笑)でも、そういう、なんか醍醐味っていうかね、古田たかしさんがもう慣れてしまったようなことを、僕たちが今新鮮に思ってますんで、ミュージシャンっていうか、アーティストとして何とかね、何とか1人前になろうと。

S:(笑)そうなんだ。

A:はい。もう、やっぱり、一度発表してしまったからには、責任をとって立派な大人になろうという気持ちでいっぱいですよ。

F:ライブは、まあ、月1とか、月1まではいかないかな。

S:結構やりましたよね、でもね。

F:何だかんだいってやってます。だから、一応は、僕は怒りつつも。

A:(笑)

F:ライブのたんびに怒ってるんですけどね。

A:ライブのたびに怒って、練習のたびに泣いてますからね。

F:ほんとに。だけど、まあね、だけどやっぱりやりたくなる、この不思議な魅力は何なんでしょうか。

A:なんかね、スタジオに入って、「あー、きのうはなー、きのうは佐野君のリハーサルだったんだよなー」って。(笑)「きのうとは違うんだ!きょうは!」って。(笑)

F:もう、そう、ピシピシって曲がきれいに進んでいく音楽をやった後で、ここに来ると、もうね、ほんとにすごいやっぱり、こう、カルチャーショックを。

S:その歯がゆさってすごいんだろうなって、想像できないものがあるから。

F:すごいっすよ。

A:だって、自分のつくった曲のコードを、いまだに間違えて指摘されてるんですから。もう、そこ違うじゃん!

F:そこ違うよね?って、こう。

A:「いや、これだったっすよ」って。(笑)

F:「これだったですよ」って嘘つくからね。(笑)

S:いや、嘘じゃなくて、忘れてるんですってー。

A:(笑)もうね、楽しいっすよ、やっぱり。そういう、何ていうんですかね、こっちの楽しさが早くライブに、CDなりで相手に伝わるようにしなきゃいけないんですけどね。

F:そうだね。(笑)

A:やってもやっても。(笑)

S:やってるほうは。

F:相当楽しいです。(笑)

A:音楽は散々聞いてたり、みたりしてきましたけど、やるほうが一番楽しいです。ほんとに、こればっかりは申しわけないけど。

T:(笑)では、今年もいろいろと活動するということで楽しみにしています。

A:いろいろ。古田さんのスケジュールの合間と。

F:できる限り。

A:佐川さんの私生活の合間をぬって、頑張ります。(笑)

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