巨匠デヴィット・リーン監督が、「アラビアのロレンス」「ライアンの娘」の間に製作し、
脚本は、リーンと御馴染みのコンビのロバートボルト。この作品では脚色を担当し、
ボリス・パステルナークの原作を見事にまとめあげ、各賞を総なめにしました。
ただ、歴史ものにつきものですが、多少、人物描写に少し弱い部分も見え隠れしています。

主役の2人ももちろんですが、脇を固めた役者達の熱演、競演には目を見張るものがあります。
特に「長距離ランナーの孤独」「ドレッサー」等の、英国俳優トム・コートレイ、
「波止場」「質屋」「夜の大捜査線」等、登場する映画全て別人？のロッド・スタイガー。
また冒頭から最後まで、年月を経て登場するラルフ・リチャードソンも地味ながら素晴らしい演技です。

撮影のフレデリック・A・ヤングは、リーンとコンビを組んだ3部作で、
全てアカデミー賞を獲得していますが、1930年以降の映画の歴史を背負った様な撮影監督で、
一度だけ、007も撮っています。イタリアの映画プロデューサー、カルロ・ポンティは、
以前にも「カサンドラクロス」の時に紹介しましたが、手がけた作品は、実にジャンルが富んでいて、
夫人であったソフィアローレンの一連の作品を始め、ロマン・ポランスキー、アンディ・ウオーホール、アントニオーニ、
ルネ・クレマン、等々の組んだ監督陣は、凄い面子揃いです。

音楽は、お馴染みの「ラーラのテーマ」がアレンジを変えて、流されてゆきます。
サントラには入っていませんが、革命がストーリーのベースな為、劇中、「インターナショナル」も歌われます。
話は少しずれますが、この「internationale」は、革命、政治的な歌で、とても有名です。
当時、この歌に対峙した人達には不謹慎な意見ではありますが、たまに、ふと聴くと、なぜか、
意気揚々な雰囲気に包まれるのです。「革命」という言葉は、常に歴史と歩み続けた言葉です。
「internationale」も、様々な国で、その歴史と共に形を替えて、多くの人々に歌われています。
同じく、ロシア革命を題材にした、ジャーナリズム映画の「REDS」の中でも、象徴的に使用されています。

サントラは、曲目が少なく、映画の長さに比べて、とても物足りない感じがするのですが、最近のDVDでは、
サウンドトラックのみを再生するような事も出来るので、一度、お試し下さい。
S・スピルバーグが、映画を撮る前に、リーンの作品で、特にこの作品を鑑賞するという話を聞いた事があり、
よくよく観なおしてみると、「なるほど、このシーンは、『E.T.』だな？」等の発見もあり、何度も楽しめます。
3時間以上の作品ですが、あっという間に観れてしまうので、年末のひとときにお勧めです。

このサントラCDは、輸入盤で、入手可能です。
DVDも、レンタル＆セルで、いつでも観る事が出来ます。お時間ある時に是非！

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