TERA：まず、PPD(Poetic Physical Domain)の名前の由来から教えて下さい。

nanaco：名前の由来？これはね、最初、バンドの名前を考えた訳じゃなくって、自分の写真シリーズで、何を思ったのか急に自分のセルフヌードを撮ったのね。それに「Poetic Physical Domain」っていう「詩的で肉体的な王国」？　一人一人、皆人間、一人一人そうだろうって。裸の写真を撮った時に「これはいいだろう」って思って。それでユニットになるって時に名前を、もう一つ考えて、それは「Caves」っていう「ほら」でもなんかこう「Caves」っていちいち言わなくちゃいけないし、でもそれよりも長い名前だけども、皆読みにくくってもPoeticな感じで「Poetic Physical Domain」。私達の事が伝わればいいんだけれども、由来って意味では、自分のセルフヌードの時からかな。

TERA：それは、何年前くらいの事？

nanaco：昨年（2001年）の事。

TERA：実際のバンド「PPD」が始まったのはいつ？

nanaco：バンドっていうか、いつも変化しているから、こう決まったものはあっても、いつもそんなには定まってないけど。でもギターがいてベースがいてDJが二人いて。太鼓がいて、それから映像があって。そういう形が出来たのは、今年の3月。5月かな？初めて5月に「PPD」の名前でライブしたって感じ。昨年のテロ事件の時なんか皆大変な時があって、しばらくして、11月にポエトリーリーディングイベントに行った時にしたのが原形になってて、それからこう色んな楽曲、歌がいっぱい生まれだしてきて。それからじょじょに、参加する人も出て来て、1回入れば皆メンバーみたいなそういった意味でもやっぱり名前もそうだしその王国っていうか領土みたいなところに出て行く人もあって、また帰って来て、また出て行ってみたいな、皆集まってボーダーのない、それが一人一人みたいな一人でもポエティック二人でもポエティックみたいな。するとこう、身軽なパフォーマンスでできればいいなって思って。

TERA：ポエトリーイベントから、5月のライブまでに、自然と形作られていったと。

nanaco：5月のためというか、ちょうど5月にそれこそ、できる様な感じに曲もいっぱいできて。

TERA：変化し続けていくユニット？って感じなのかな？

nanaco：うん、ユニット。曲を作ろうみたいな感覚ってなくって、こう即興みたいな、例えばキーボードの人が一緒にいれば一つの詩があって、それを歌えば一曲できた！みたいな感じで、それをあのーいろいろこう皆で、あーでもないこーでもないって変化しながら
パフォーマンスしていく。

TERA：月に1回くらいライブしていますね。

nanaco：5月くらいから。みんな若くないし、月1回やると大変。でも私はしょっちゅうやりたい。

TERA：映像とDJっていうのは、やっていく内に増えていったんですか？

nanaco：そう。あの私なんかの場合は、動物とか植物とかとホント同じで、こう四季折々季節の変化のまま。言葉もそうだし写真もそうだし、春になって花が綺麗だったら、花の気分になるし、冬になると、こう冬な感じになるし。なんかこう大地の下の世界に冬眠していくみたいな感じがそのまま歌になる。まあ俳句の様な(笑)ね。

TERA：で、今回久しぶりに、日本語で歌っていますが、何か変化があったのかな？

nanaco：なんかね。去年、沖縄の伊平屋島にいって、すごい素晴らしいところで、そこの事を教えてくれたのが、Coccoだったのね。Coccoが伝えてくれた時、自分がこうデジャヴーじゃないけど、そこに行った事があって、洞の中の感じも記憶にあって、光もどういう風入って来るのか、床も砂も引いてあって、すごくそれが感じられて、あそこに行った事きっとあると。だから実際行かないといけない。という感じがすごいあって、で。行く前に、何度も何度も夢を見て、それでそこに行って、その時に自然にこう、(日本語が）出て来ちゃった。それがその「くまやの洞」っていう歌で、それがきっかけで、日本語の歌を最近は歌わなかったけれども、それはやっぱり、外との繋がりの方が、深かったりする部分で、自分がこう英語に慣れてた部分がいっぱいあって、でもこう今は日本に住んでて、この国で生まれて、今何かやらなければいけない事が、やっと今考えられる様になって、灯台もと暗し、青い鳥みたいなもので、自然と決して無理してはいない日本語のこう詩が出て来るようになったから、また日本語で歌い始めて。

TERA：その日本語。昔、歌っていた日本語とはニュアンスは違いますね。

nanaco：そう。あの頃はもう昔といえば、20年くらい前まではまだ日本語の歌うたってて、その頃っていうのは、そういう時期のこう好きな事って、絶対にボーイフレンドが出てくるし、恋人が出て来て、嬉しい楽しい悲しいみたいな事が歌になっている訳。それが今となると、そういう事ばっかりじゃなくて、大きく深くってみたいな世界が見えて来るから、自然と歌もそうなるって感じ。

TERA：この「Poetic Physical Domain」は、この先ずっと続けていこうと？

nanaco：それは、皆、年をとっているし、若い人もいるけれども、どうでしょうねー。
来年も何かいっぱいやりたいし、その変化して来たという中で1年たっても20年前と全く違う世界になって、特に今日のライブみたいに、70年代の伝説のミュージシャン達が、こんな形に自然と集まってるライブって、ちょっとあんまりない事だったりするから、じゃ、なんでなんだろう、そのなんでの問題で、私達の場合はこうお金で呼んでいる訳でもない。「こう/何かこう/テープを聴いた/何かすごく求めていた/一緒にやろう」みたいな事だったり。何かそういう事で、多分こういう風に、揺るぎない力を自然に貯えてきた。こう酋長みたいな人達がこう自然に集まってくると、みんな今までやっぱり忘れていたような大きな音楽に包まれていった。そういう体形っていうのも、その年代のスタイルとか、もう超えちゃってるから、そういうものじゃない何か本当の深い呼吸でものを楽しんでいけれる内に、あっ気持ちよかったみたいに思ってもらえればいいかなって。

TERA：今後、更に色んなミュージシャンが加わったり？

nanaco：そう言う事はあると思うし、やっぱり日本の、この間の和太鼓の内藤さんと一緒にやったりして、やっぱりその深い日本にある深い深い音だったりするものにとっても興味あるから、あまりジャンルでとか、スタイルとかっていう事じゃなく、出逢いがあればどこの国の人でも出来るかなって、思う。

TERA：とっても自然の流れの中だね。

nanaco：今のところね。

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2002.12.5のライブは、いつもの「PPD」の形とは異なり、特別ゲストとして元「めんたんぴん」のギタリスト飛田一男氏、また、キーボードの井出隆一氏を迎え、大人な雰囲気の中で行われた。このように、自然の流れの中で変化し続ける「PPD」に、momentは注目し続けたい。今後の「PPD」の詳しいinfoや活動はwebsiteで是非共チェックして欲しい。

PPD HPhttp://www.rivernanaco.com/ppd
nanaco HPhttp://www.rivernanaco.com